海外では人気!?伝説のアニメ「ゴーゴー五つ子ら・ん・ど」の魅力を語る
あなたは「ゴーゴー五つ子ら・ん・ど」という作品をご存知だろうか?
……たぶん、知らない方のほうが多いかもしれない。
それもそのはず、この作品、関東・東海地方の早朝でのみしか放送されていない、「そこそこマイナー作品」なのだ!しかも、本放送以来、ソフト化も再放送も一切なされていないという不遇な境遇にある。そのため、放送地域以外でご存じの方はほぼゼロだろう。
ゴーゴー五つ子ら・ん・どとは
本作は製作をエイケン、実制作をマジックバスが手掛けている。エイケンとマジックバスは「キャプテン」(1980年)で手を組んで以来関係が続いており、本作もその流れで作られたと思われる。なお、エイケンはソフト化に極めて消極的なことで知られ、放送当時は既にビデオソフトが一般的だったにも関わらず、前述の通りVHS化すらされていない。
なお、ドラマの「大好き!五つ子」とよく混同されるが、局は同じだが直接的な関係は無い。ただし、作中でパロディが登場するなど意識はしている様子。また、本作終了後の「大好き!五つ子」シリーズのタイトルに「大好き!五つ子Go!!」「大好き!五つ子Go2!!」があるが、もしかすると本作の影響があるのかもしれない(これは推測にすぎないが)。
本作は実在の街・戸越銀座がモデルになっていることでも知られる。美術監督の湖山真奈美さんによるとロケハンが行われたらしく*1、戸越銀次郎公式ブログによると実在するお店の人たちがモデルになっているそうである*2。更に、戸越銀座商店街前理事長の方によると戸越銀座でイベントも催されたそうだ*3。当時から実在の街をモデルにしたアニメは他にも存在したものの、ここまで地域に密着した展開を広げた作品は、「らき☆すた」以前では珍しいのではないだろうか。
スタッフ的な見どころでは、福田裕子さん・待田堂子さん・中村能子さんなど、今のアニメ業界で活躍中の脚本家の面々が、本作で本格的なアニメ脚本デビューを果たしている。特に福田さんは思い入れが強いようでTwitterで度々本作について語ってくれている。*4*5*6
ちなみに脚本家の一人である土屋理敬さんは何故か本作で声優デビューを果たしている。本当に何故なのだろうか…。(ちなみに役名はTBSプロデューサーの丹羽多聞アンドリウさんから取られたと思われる。)
豪華な芸能人コラボ
本作では、00年代作品らしく芸能人コラボのエピソードがいくつかある。アニメファンには何かと嫌われがちな芸能人コラボだが、本作では上手く作中にフィットして登場する。
コラボ相手の1人が、和田アキ子だ。本人役として登場し、「アッコにおまかせ」といった実在の番組名も出てくる。ただし、声優は本人ではなく吉村明宏というモノマネ芸人が担当しているらしい(未確認情報)。ちなみにこの回は何故かきのこのパンチラが異常に登場する。
他に、えなりかずきとのコラボ回も存在する。番組名は出てこないが、恐らく当時放送されていた「渡る世間は鬼ばかり」関係でのコラボと思われる。きのこの憧れポジションとして登場するが、失礼ながら多少無理がある気がするぞ。
ちなみに、えなりは本作から5年後に「アーサーとミニモイの不思議な国」というアニメ映画に出演するが、その製作発表において、あろうことか「実は本作が、映画初出演で、声優も初挑戦なんです!」とコメントしている。完全に本作のことは忘れられているようだ。ひどい!
あと、芸能人コラボと言えるか微妙だが、TBSの向井政生アナウンサーが2度本人役で登場している。地味過ぎて自分はクレジットを見返すまで気づかなかった。
海外では人気!
さて、ここまで解説したのは国内での評価である。そう、実はこのアニメ、海外では割と有名作品なのだ!僕が把握しているだけでも台湾やオランダなど世界13カ国で繰り返し放送されており、国内では未ソフト化の癖に台湾とスペインではDVDまで発売されているのである(国内でも出せよ)。
実際に、TBSの海外向け番販カタログサイトでは、アニメカテゴリーのアクセス数ランキングで全145作品中第24位を誇っている。これは「CLANNAD」よりも「キルミーベイベー」よりも高い順位である。
また、2015年に開局したベトナムの日系チャンネル「View TV」では、本作が開局当初の主力番組として選出されている。ベトナムでの本作の浸透具合が分かる。
本作の海外人気を示すものとして韓国の事例もある。
TBSが2001年から2002年にかけて放送した『ゴーゴー五つ子ら・ん・ど』というアニメ番組がある。主人公である五つ子たちが巻き起こす騒動を描いた作品だが、その中に、子供たちが着物を着て、正月を過ごす話があった。この番組を初めて韓国のアニメ専門チャンネルに販売する際には、その話を除かざるをえなかったが、その数年後、除外した話を追加して再販売してほしいという申し出が来た。このような事例からも、日本色に対する規制は徐々に緩和されつつあると思われる。
大場吾郎「韓国で日本のテレビ番組はどう見られているのか」
この本ではコンテンツ規制に関する文脈で触れられているが、再放送の申し出が来るなど人気が高かったであろうことが伺える。(太字は引用者によるもの)
キャラがかわいい!
そう、ご覧いただければ分かると思うが、このアニメの女の子キャラは滅茶苦茶かわいいのだ。きのこ(CV:水谷優子)もユリカちゃん(CV:倉田雅世)もぼたんちゃん(CV:金田朋子)もみかんお嬢様(CV:大谷育江)もカリンちゃん(CV:小暮英麻)も…、かわいい~!
特に五月女浩一朗(そ〜とめこういちろう)さんの作監回はとてもテンポが良く、かつとてもかわいいので筆者のお気に入りである。
おもらし~!
このアニメ、21世紀の子供向けアニメのくせに、みかんちゃんのおもらし回が計9話も存在する。一部マニアにはこっち方面で有名(?)らしく、あるサイトでは「殿堂入り」と評されていた。
私はこの手の趣味はないのでこの記事では省略するが、ニコニコ動画におもらしシーンの抜粋動画が上がっているので是非。
おわりに
先述の通り、この作品は国内ではソフト化されていない。一応台湾版DVDが出ていて、その副音声として日本語版も収録されているが、強制字幕の上にあまり画質も良くない。その上、DVDの入手も簡単ではなく、気軽に視聴できるとは言い難い状況である。
というわけで!
エイケンさん、「ゴーゴー五つ子ら・ん・ど」の国内DVD化もしくは動画配信をお願いします!!!!!!
エイケン公式サイトでリクエスト募集してるみたいなので、ぜひぜひ。
商品化、DVD化へのリクエストをいただき、誠にありがとうございます。大変多くの声をお寄せいただいており、今後の参考とさせていただきますが、お返事は基本的に控えさせていただいております。また必ずしも商品化、DVD化されることはお約束できませんので、ご了承ください。
公式が出してくれるのを待てない人へ→ネットの海を漁ればどこかに全話がある…かも。