アニメ「サザエさん」のドラマ盤レコードの話
前回に引き続き、今回もアニメ「サザエさん」に関する記事である。今回取り上げるのは、タイトルにもある通り「ドラマ盤レコード」だ。
メディア展開の少なかったサザエさんだが、まだ権利関係が緩かった1970年代には、ドラマ盤が複数発売されていた。ネットでは情報が殆ど無いので、詳しく取り上げていこう。
概要
サザエさんのドラマ盤は以下の3本が発売されていることが確認できている。いずれも未CD化である。
この他、アニメ準拠キャストによるドラマとしては、1977年~1987年に文化放送で放送された「連続ラジオまんが おはようサザエさん」があるが、ドラマ盤レコードとは直接の関係は無い。
こどものテレビ・ドラマ・シリーズ サザエさん
(TC-6322/東芝音楽工業/1971年2月発売)
収録内容
A面
B面
ドラマクレジット
- 原作:長谷川町子
- 制作:松本美樹
- 脚本:城山昇(勉強してます、おれは強盗)、雪室俊一(ねえ!どうして)、鈴樹三千雄(こんにちは蝶々さん)
- 演出:岡本知
- 製作協力:TCJ動画センター、グロービジョン
- 出演者:加藤みどり(サザエ)、高橋和枝(カツオ)、山本嘉子(ワカメ)、貴家堂子(タラ)、永井一郎(波平)、麻生美代子(ふね)、近石真介(マスオ)ほか
解説
1971年と、比較的初期に発売されたレコードである。歌4曲(「サザエさん」は2回収録)とドラマ4話で構成されている。ドラマは過去に放送されたTV版のエピソードを再アフレコした内容となっている(下記参照)。
- ドラマ第1話「勉強してます」→TV版「勉強してま~す」(1970年2月8日放送)
- ドラマ第2話「ねえ!どうして」→TV版「ねえ・どうして?」(1969年12月28日放送)
- ドラマ第3話「こんにちは蝶々さん」→TV版「今日は蝶々さん」(1970年3月8日放送)
- ドラマ第4話「おれは強盗」→TV版「おれは強盗」(1969年11月16日放送)
細かい部分(アドリブ?)と説明台詞の挿入を除けば、内容はオリジナルのTV版と殆ど同じであるが、演技の変遷に注目して聴いてみると色々興味深い。特に「おれは強盗」はTV版は大山のぶ代が、ドラマ盤では高橋和枝がそれぞれ演じているので、両者の演技の違いがよく分かる。ちなみに、モブ声優はオリジナルTV版とは違う声優がキャスティングされている。
※裏ジャケットでは「レッ・ゴー・サザエさん」や「こんにちわ 蝶さん」など誤植・表記ゆれが見られるが、ここではジャケット内の表記に則った。
テレビまんがアクションシリーズ まんが名作劇場 サザエさん ジムボタン
(CH-15/日本コロムビア/1975年8月発売)
収録内容
A面
B面
ドラマクレジット
A面
B面
解説
一部には有名?なサザエさんの「アクションシリーズ」である。エイケン繋がりなのか堀江美都子繋がりなのか、『ジムボタン』とのカップリングとして発売された。
ちなみに、『ジムボタン』は1975年3月に放送終了なので、なんとこのレコードの発売時には既に放送が終わっている。謎だが、ジムボタンは当初4クールの予定が2クールで打ち切りになった…という噂があるので恐らくそれ絡みだろうか?
さて、このレコードでは間奏と曲間にドラマが挿入されている。ドラマといっても先述の「こどものテレビ・ドラマ・シリーズ」ほど本格的なものではなくちょっとした会話程度のもので、一貫して「タヌキ」を軸とした(?)会話で構成されている。
ちょっと気になるのが、ドラマのラストが「う~ん、問題はどうやってタラちゃんに分からせるかだな……そうだっ!」という非常に中途半端な台詞で終わっていること。どういう理由でこうなったんだろうか…?
【追記】
— 𝑫𝒐𝒖𝒈𝒉(どーなつ) (@doughnut_f) 2020年11月7日
テレビまんがアクションシリーズ(CH-15)のサザエさんのドラマ部分が第281回C『キツネとタヌキ』を流用した再編集だったことが判明しました。チグハグな展開だったのはこのせいだった模様。
ただ気になるのが、一部の台詞だけはテレビ版とは別テイクが使われていること。更に謎が増えた…。 pic.twitter.com/mDnlsDDqMl
ちなみに、ジャケットのイラストは「サザエさんのうた」[SCS-253]を流用している模様。
テレビまんがアクションシリーズ サザエさん
(CH-52/日本コロムビア/1977年7月発売)
収録内容
A面
B面
ドラマクレジット
- 声の出演:加藤みどり(サザエ) 他
解説
再びサザエさんの「アクションシリーズ」である。CH-15は『ジムボタン』とのカップリングだったが、こちらは『サザエさん』オンリーである。A面の「ウンミィの歌」「天気予報」は新録、B面の「サザエさんのうた」「あかるいサザエさん」はCH-15Aの流用となっている。そのためB面のワカメは山本嘉子が演じている。発売当時、本放送では既にワカメ役が山本嘉子から野村道子に変更されていたが、火曜日版ではまだ山本嘉子時代の再放送だったため問題無いとの判断だったのだろうか。
A面の新録ドラマはCH-15と同じくちょっとした会話程度のものだが、こちらは一貫したテーマはない。
出演声優のクレジットはサザエ以外は省略されているのだが、自分の耳で聴く限りは、加藤みどり(サザエ)、近石真介(マスオ)、高橋和枝(カツオ)、貴家堂子(タラ)が出演している。
ちなみに、ジャケットのイラストは「サザエさんのうた」[SCS-253]と「ウンミィの歌」[SCS-354]を流用している模様。
以上。