謎のナックアニメ「のら犬ペスの冒険」考

ナックが制作したパイロットフィルムに「のら犬ペスの冒険」という作品があります。

かわいい犬の物語(要約)なのですが、この作品は色々と謎が多く、なんとなく惹かれる部分があります。この記事では、ニコニコ大百科では書けないような推測、情報を書き連ねてみることにします。

原作について

原作は村野守美による漫画「ほえろボボ」です。COMにて1971年9月号~1972年3月号で連載されました。第1部のみしか描かれておらず、未完の作品となっています。

 

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ペスの作中でも、タイヤの文字(BOBO)として「ほえろボボ」原作であることが示唆されています。

 

原作の題ですと「ボボ」が九州地方で放送コードに抵触する恐れがあるという理由で、「のら犬ペスの冒険」に改題されたと言われています。同じような理由で後にテレビアニメ化された際にも「ほえろブンブン」に改題されています。

ちなみに、同じく村野守美による漫画「ほえろブンブン」という作品がありますが、これはテレビアニメ化に伴い中日新聞等に1980年1月~12月まで連載された新作作品であり、「のら犬ペスの冒険」の直接の原作ではありません。ペスの原作はあくまでも「ほえろボボ」です

 

制作時期について

ナック作品の制作時期から見ると1979年頃ではないかと推測されているらしいです。

 そういえば「ほえろボボ」の単行本が発売されたのも、1978年5月と近い時期ですね。この説を補強するものとして、他にも流用BGMの存在があります。詳しくは後述。

 

BGMについて

ペスの前半BGMとして、みんなのうたで使用されたシンガーズ・スリー春をよぶ夢」という曲が流用されていることが分かっています。

なぜ1971年のこの曲が1979年頃のペスに流用されたのか、推測してみました。

 

「春をよぶ夢」の流用経緯の推測

みんなのうた「春をよぶ夢」のアニメーションは、朝日プロモーションという制作会社が担当しています。この朝日プロ、実はADKの子会社らしいのです。

卒業後はテレビコマーシャル制作会社・朝日プロモーション(現ADKアーツ)に入社。

犬童一心 プロフィール|映画24区スクール

 

ナックとADKといえば…「スーキャット」です。(恐らく唯一のナック×ADK作品)

[製作]東京12チャンネル / [製作]旭通信社 / [製作]ナック

メディア芸術データベース

スーキャットの放送年は1980年。ペスの制作年と目される1979年の1年後になり、時期は近いです。

これを見るに、ペス流用の経緯はペスにADKが関わっていたからではないでしょうか。

もっと言えば、元々ナックとADKが組んでテレビアニメ「ペス」を作ろうとしてた企画が頓挫して「スーキャット」を制作、という流れなのではないかと思うのです。どうでしょうか?

 

作中に登場する列車について

 原作「ほえろボボ」では舞台はアメリカなので、これがモデルである可能性は高いですね。

 

ペス以前の「ボボ」アニメ化疑惑

 

そういえば、以前ICHIが投稿していた倉庫の写真に「ボボ」という謎のパイロットフィルムが写り込んでいました。

 

 

実はこれがアニメ「ほえろボボ」のパイロットフィルムなのではないでしょうか!?
ナックと読売テレビは1970年に「いじわるばあさん」で組んでいるので時期的にも合致します。


更に、この企画と同時期である1972年頃、なぜか「ほえろボボ」が少年マガジンにてリニューアルして連載されていることが分かっています。

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もしかするとこれは「ほえろボボ」アニメ化に合わせての展開だったのかもしれません。