黎明期のアニメ通信教育!民話社の講習パンフレットを紹介しよう

 一部の方々には知名度の高いアニメーション制作会社『民話社』。

 この会社はアニメ制作だけでなく、アニメーションの通信教育事業も手掛けていました。詳しくは私が初版作成したWikipedia記事を閲覧していただければと思いますが、1968年頃に事業開始というのは中々に先見の明があると言えそうです。

 民話社の社長である大矢敏行氏は、もともとアニメではなく実写畑の人物でした。実写映画では主に撮影を手掛けていたそうですが、カラー研究の為に実写の人材を集めて制作した『ドルフィン王子』(制作:テレビ動画)をきっかけにアニメの世界へ進出したようです。そして、この民話社はそれから約3年後の1968年に設立(正確には改称)されました。残念ながら民話社は1973年で倒産してしまいますが、その後も大矢氏は代々木アニメーション学院を設立し、再びアニメーション教育に携わることになります。が、それはまた別の話…。

 

という訳で今回、そんな民話社が発行していた講習パンフレット(多分資料請求すると送られてくるやつだと思います。)を4枚入手できましたので、ご紹介します。

 『良くお読みになって、ご返事ください』

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 このパンフは1973年9月29日発行ですから、この段階で10回目の募集だったんですね。民話社は1968年1月(諸説あり)の設立なので、大体年に2回のペースで募集してたんでしょうか。

 『おかあさんの童話』は雑誌広告での謳い文句通り、全てがホームスタッフの手によって作られていたようです。それであのクオリティになってしまった訳ですね…。まぁ撮影以降の過程はプロがやってたんじゃないかと思いますが。

ちなみに、勘違いしてほしくないのは『新しい日本の民話シリーズ』はちゃんとプロの手が入っていることもあり、別にツッコミどころ満載ではありません。民話社の作品の全部が全部、ヘンな作品じゃないというのは知っておいてほしいです。

 

『技術をおぼえた後は、こうしてお仕事をおわたしします』

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 この冊子は作品紹介が貴重です。

 1ページ目で紹介されている中では『新しい日本の民話シリーズ』『伊賀の影丸は自社制作の作品ですね。伊賀の影丸はフジテレビ・エンタプライズ(元・テレビ動画)元請のテレビ紙芝居作品で、恐らく大矢敏行氏が以前同社で仕事していた繋がりから発注されたのでしょう。下請け作品も『バビル2世』を除いてフジテレビ放送の作品ばかりですが、これもフジテレビ・エンタプライズから仕事を回してもらっていたのでしょうか?

 表紙の『新しい日本の歴史物語シリーズ』と2ページ目で紹介されている『美しい童話の世界シリーズ』は発売された痕跡が見当たらないのですが、もしや制作が頓挫したのでしょうか。また、絵本として紹介されている「少年王者」は頓挫したTVアニメ企画(フジテレビエンタプライズの元請で放送される予定だった模様。)のコミカライズですね。どういう縁か分かりませんが、漫画家(元アニメーター)の北野英明さんが執筆していたようです。

 そして、実技練習として載っているテレビ紙芝居の伊賀の影丸のイラストはかなり貴重です。殆ど資料が残っていない作品なんですよねこれ。

 

 

『ビルジ・システム(ホーム・エイジェンシーを目指すあなたへ)』

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 民話社はアニメ制作とは別に、「手づくり紙芝居」を制作する『ホーム・エイジェンシー』を募集していたようです。これはその冊子ですね。民話社の紙芝居はオークションでは見かけたことがありませんが、一体どの程度現存しているんでしょうね…。

 

『ホーム・エイジェンシーをめざすあなたへ』

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 『新しい日本の民話シリーズ』は「手づくりセル紙芝居」でも制作されていたようです。ストーリーは恐らくアニメ教材版の流用でしょうか。

 

 

 

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というわけで、以上です。
ここまでご覧いただきありがとうございました。本記事が民話社研究の一助となれば幸いです。

 

おまけ

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民話社倒産時の新聞記事ですが、パンフレットを読んだ上で見るとなかなか悲しくなってきます。(「読売新聞」1974年1月17日)